平山 讓の近著

還暦少年 (講談社刊)

還暦軟式野球選手権――。全国に400以上ものチームがあり、 60歳を超えた約2万人が、 いまだ野球に熱中している。定年後に生き方を見失った会社人間「四番セカンド・コバヤシ」。悪性リンパ腫の病魔と闘う「五番ライト・カキヌマ」。62歳にして野球を始めた新米の「九番代打・キムラ」。喧嘩した息子との関係を修復できずにいる「七番センター・ナカジマ」。妻を亡くし、親友も失ったグローブ職人「六番ピッチャー・タケウチ」。還暦を過ぎて都会の片隅にあるグラウンドへと集まった5人の、 家族、人生、そして、野球を描く、『小説現代』の連載でシニア層から人気を博した連作リアルストーリー。

パラリンピックからの贈りもの (PHP研究所刊)

交通事故で大腿を切断して夢を奪われた大学生。小児麻痺で社会との隔たりを感じていた女性会社員。障害者スキー日本代表チームをゼロから組織した監督。水泳で21個のメダルを獲った「ミスターパラリンピック」。「僕らには、スポーツという翼がある」──。悲しみや苦しみのどん底で、スポーツに出合い、もう一度、夢を見つけた七人の挑戦。表題作の他、『仲間がいるから』『トスの人』『義足でのテイクオフ』『手作りの金メダル』『ブラインドサッカーというサッカー』『四年間』、全七編を収めたパラリンピックの物語。

片翼チャンピオン  (講談社刊)

人生の絶頂期に発病し、生死の境をさまよいつつ生還した。「脳卒中」の総患者数は、全国に約137万人。小さな不動産店を営む主人公も、突然片半身の自由を奪われてしまう。生きる気力を失い、自宅に閉じこもって暮らす日々。築きあげてきたすべてをなくす失望感のどん底のなかで、息子に誘われたのは、あきらめていたスポーツだった──。障がい者となった男とその家族が、再起に挑み、チャンピオン目指して再起する家族を描いた表題作の他、脳卒中患者と若者との交流を描く『ひとりぼっちゃ』、教え子から生きる勇気を得る『ハッピーバースデー、俺。』、『小説現代』に連載の「脳卒中からの生還」をテーマに描く3連作。

サッカーボールの音が聞こえる  (新潮社刊)

中学生のときに病気によってプレー断念して以降、サッカー観戦だけが唯一の生きがいだった若者。ワールドカップ初出場を目前で逃した「ドーハの悲劇」に泣き崩れ、フランス行きを決めた「ジョホールバルの歓喜」を現地で味わった。しかしそんな若者は、さらなる悲劇が襲う。緑内障の宣告、そして、10度目となる手術の末の失明。なにも見えない真っ暗闇の絶望のどん底で、生きる気力さえ失いそうになってしまった彼に、希望を与えたのは、鈴が入ったボールを追う、音が頼りの「もうひとつのサッカー」、ブラインドサッカーとの出会いだった――。『小説新潮』連載のリアルストーリー。

灰とダイヤモンド (PHP研究所刊)

伊豆諸島の三宅島に一校だけある高校、都立三宅高校の野球部は、部員数が少なく、大会出場すらままならなかった。夏の甲子園予選当日、試合に挑むその朝、 三宅島の雄山が大噴火し、混乱のなかでチームは大敗する。 大量の火山灰に埋もれ、火山ガスが充満する島は、避難勧告が発令され、やがて無人島と化してしまう。慣れない都会での避難生活を強いられ、絶望しそうになる三宅ナイン。監督と選手たちを支えたのは、島民のあたたかい励ましと、「夏の一勝」という夢だった──。故郷を失いながらも、復興に向かって走りつづけた、先生と生徒たちの真実のドラマ。

4アウト (新潮社刊)

現役を断念したノンプロの中年投手のもとに、監督依頼が舞いこんだ。集まった選手たちは、野球も人生もあきらめかけていた者たち。交通事故で甲子園を断念した元高校球児。脳梗塞で左半身不随になったエース……。松葉杖をバットに持ち替えたナインは、キャッチボールもままならないところから再出発し、障がい者野球リーグ日本一を目指して前進する。敗色濃厚となった日本選手権、試合をなげだしてしまいそうになる選手たちを集めた監督が叫ぶ。一度は3アウトを宣告された人生。「でも、まだ、終っちまったわけじゃねえ」──。

最後のスコアブック (PHP研究所刊)

挫折の果てに、ケガした高校生と出会ったスカウトの選択。WBC日本代表を支えたスコアラーの挑戦。マスターズリーグMVPに輝く無名投手の再起。メジャーリーグを目指す日本人審判員の冒険。日本女子代表を世界一へ導く女子野球指導者の発見。北海道勢初の全国制覇、駒大苫小牧高校監督の甘苦──。「戦力外通告」から始まる、ゲームセットなき人生。『野球やろうぜ』『最後のスコアブック』『やりなおしのマウンド』『海を渡るアンパイア』『野球からの贈りもの』『優勝旗のかわりに』 全6編を収めた、ベースボール短編集。

リカバリーショット (幻冬舎刊)

誰にでも、逆転のための 「人生を賭けた一打」 がある。25年間でツアー一勝のプロが、苦悩する息子に贈ったエールの一打。長年芝を育ててきた支配人が、闘病しながら放った人生最後の一打。ゴルフを楽しいと思えなかったプロの、オーガスタでの復活の一打。伊澤利光、セベ・バレステロス、樋口久子ら有名プロから、未勝利の無名プロ、クラブ職人、シニアアマなど、13人のゴルファーの《リカバリーショット》を集めた短編集。震災ですべてを失いながらプロになった、「還暦ルーキー」こと古市忠夫があのタイガー・ウッズと夢の対戦をした、『タイガー対ふつうのおっちゃん』(『ありがとう』続編)も収録。